「なにボーっと突っ立ってんの、座れば」
「えっ」
突然後ろから声がして振り返ると、藤堂くん。
それもそうか、藤堂くんだって後から入ってくるのは当然だった。
「…はぁ、めんどくせーやつ」
「え、わ、…ちょっと」
藤堂くんは私の手首をつかみずかずかと中にはいると私を強引に座らせた。
その隣に、自分も腰を下ろし、二人が準備するのを見ている。
「で、今日は何鍋」
「今日は、キムチ!激辛~」
「程々にしろよ、俺そんな辛いの食えない」
「え、葵嫌いなの?」
「嫌いじゃないけど、限度あるだろ」
藤堂くんは何事もなかったように話し始める。
彼にとっては、その程度の事。
私がごちゃごちゃ悩むのは無駄なんだ。
「ちょこちゃんは?辛いの平気?」
「わ、私もあまり辛すぎるのは…」
「わかったー。じゃあ、程々ね!」


