「ピンポーン!藤堂葵さんにお届け物でーす!」
玄関の前で、口でチャイムを再現しながらはしゃぐ二人に、私は逃げ出したい気分。
恥ずかしすぎる…!
しばらくして、ゆっくりと扉が開いた。
うんざり顔の藤堂くんが顔を出す。
「じゃーん!新鮮ピチピチ、お早めに召し上がれ―!」
「お前ら、ウザい」
バッサリと冷たくあしらわれても、二人はとても楽しそうだ。
どうしたら、あんな風に明るくいられるんだろう。
少し、尊敬する。
二人はギャーギャーと騒ぎながら“どうぞ”と言われる前に中へと入っていく。
私は、そんな二人に気後れを感じながら、立ちすくんでいた。
やっぱり、場違いじゃないんだろうか。
断りきれずに来てしまったことを、今になって後悔した。
「なにしてんの、入れば」
「えっと…やっぱり、私…」
「…なに?俺と二人きりがよかった?」
グイッと顎を持ち上げられ、視線を合わせられる。
私はかあっと顔が熱くなるのを感じる。
「ち、違います!…お邪魔します!」
私は突き飛ばすように藤堂くんの手を払いのけると、藤堂くんの横をすり抜け中にはいる。


