「だから、ラッキーだったね、ちょこちゃん!」
「え、いや…私は…」
「なんで?あいつ、結構モテるんだよ!まぁ、あいつは誰にも本気にならないけどね」
「え…?」
竹内さんは、寂しそうに笑った。
誰にも本気にならない?
それは、どういう…。
「あ、見えてきたぜ。あれあれ!」
藤堂くんが指差した先には、藤堂くんのアパート。
藤堂くんの部屋である二階の角部屋。
「よし、いこいこ!」
さっきの寂しそうな表情は消え、竹内さんははしゃいで中へと駆け出した。
わからないことばかりだ。
藤堂くんという人は、知れば知るほど、わからない。
どうして私を部屋に呼んだのか。
どうして、今日は断らなかったのか。
誰にも、本気にならないってどういうことなのか…?


