「あの…藤堂くん…!」




我ながら、何と間抜けな声だろうか。
それでも、藤堂くんはその声に目を開け私を見上げる。




「…あんた」

「こんなところで、なにしてるんですか?」

「…傘、忘れたんだよ。だから、雨がやむまで」

「…やまないと思いますよ?向こうの方まで雨雲続いているから」




私は空を見上げながらそう告げると、藤堂くんは心底うんざりした顔をする。
雨宿り、しているうちに眠ってしまったのか。





「しょーがねぇ。走って帰るか」




そう言って立ち上がると鞄を持つ。
私は少し考えて、言葉をかける。




「傘、入っていきますか?」

「…は?いいわけ?」

「風邪、ひくといけないし…」




私がいれなかったせいで風邪を引いたってなると、寝覚めが悪いし…。
少し、気はひけるけれど…。