少しだけ、彼の様子を伺うと寝ているらしい。
こんなところで寝るなんて、不良の考えることはわからない。

誰かを待っているんだろうか。


それにしても、こんなところで寝ていたら風邪でも引いてしまうんじゃないだろうか。


すっかり寒くなってきた11月の頭。




…私が心配することでも、ないか。





ダメだ、一度関わってしまったら、こんな些細なことで気にかけてしまう。
こんなことなら、本当にかかわる前のただのクラスメイトのままでいたかった。




私が心配したところで、彼は嬉しくなんてないのだから。






もう、行こう。
さっさと行ってしまおう。
早く駅に向かて電車に乗ってしまえばいいの。




そう思い一歩進む。
パラパラと雨が頭上に降り注ぐ。

雨音はさっきよりも強くなっている気がした。




……。




ああ、ダメね。
一度気になってしまったら、頭の中がそのことでぐるぐる回って。
きっとこのまま駅に向かっても、そのことをいつまでもクヨクヨ考えるのがオチよ。