「あ、葵―!」
池田くんが大声で手を振りながら叫ぶ。
私は肩をビクッと震わせる。
「声でけーよ」
「わりーわりー。ほら、葵、ちょこちゃん!」
「は?ちょこ?」
池田くんに引っ張られ、藤堂くんの前に引っ張り出される。
ひ~やめて~!
そう思っても、もう後の祭り。
「…ああ、あんた」
「あんたって、葵ねぇ。そばをぶっかけておいてその態度はないんじゃないのぉ?」
ギャルが、ギャルがもっともなことを言っている。
ああ、それは偏見だったのか…。
「私たち、仲良くなったんだよ、ねー!」
「え…あ、あの…」
竹内さんはそう言って笑いかける。
仲良くって…、会ってまだ数分しかたっていないのだけれど…。


