「というか、今も、ごめん。また指差してた」




後ろ頭を片手で掻きながら頭を下げるその人。




「い、いえ…あの、気にしていないので…」



無神経だと思ったことは内緒にしておこう。
悪いと思って謝ってくれるのなら、別に責める理由もない。




「…あいつに、葵に怒られてさー」

「え?」

「君は俺たちの周りの女とは違うんだから、って。ついいつもみたいに笑っていじるっつー流れにしてたなぁと反省してさ」

「藤堂くんが…?」

「そうだよな。あんな人前で指差されて笑われるって、普通嫌だよな。ごめん」




今度は深々と頭を下げる。
藤堂くんが、それをこの彼に指摘したというの?
そんな、まさか。


だって、それ以上に失礼なことを…。
でも………。





「あの、本当にいいんです…。あれは、私の不注意だったので、笑われて仕方ないですから」

「いや、それは違うって…」

「本当に、大丈夫ですから」





私はそう言って頭を下げると逃げるようにその場を後にした。