私はそのまま学校に戻った。
鞄は置いたままだし、授業も出るつもりでいたのだから。




「千世子!心配した!大丈夫だった?あの藤堂くんと一緒だったの?」




戻ってきた私を見た友恵が慌てた様子で駆けつける。
捲し立てるようにそう言うと心配そうに私の全身を見る。





「…う、うん。大丈夫」

「あれ?シャンプーの匂い?」

「あ、これは…。めんつゆをかぶってしまったから…」

「そっか。でも、無事でよかった」




ホッとしたように笑う。
心配かけてしまった。
友恵に会えて、少しホッとしている自分もいる。

やっぱり、私はこの場所が一番安心する。




「さっきの授業のノート、千世子の分も取っておいたから」

「わ、ありがとう」




友恵の優しさにホロリとする。
もう、忘れてしまおう。
藤堂くんの事なんて。
なにもなかった昨日までに戻るんだ。