「か、勝手に人の事観察しないでよ」

「ははっ、ごめん」




洋介から聞く自分の話が照れくさくて。
自分の知らないところで見られていたことがなんだか変な感じ。

てか、あたしそんな事覚えてないし!


あたし、恥ずかしすぎるでしょ。
自分の財布事情を猫に話すって、どうかしてるって。





「ずるいな。もう少し距離を縮めてから俺から告白しようと思ってたのに」

「知らないよ、そんなの」

「俺のために、こんなにきれいになってくれたの?」



洋介の手が、あたしの頭を撫でる。
撫でられた場所が熱くなる。





「な、な、な、…そんなんじゃないから!」

「はいはい。梨奈ちゃんって、素直じゃないんだね。そういう所も、かわいいけど」




完全に振り回されているあたし。
なんか、悔しいけど、惚れた弱みってやつだろうか。




あたしはちょこちゃんみたいに、誰かを変えることはできない。
けど、誰かのために変わることはできるのかもしれない。