「なんすか」
いきなり笑われて、いい気がするわけがなく。
くしゃくしゃに顔をゆがませながら笑うその名前も知らない男。
よく見れば、爽やかそうなイケメン。
あ、ちょこちゃんのクラスの転校生タイプだ。
あいつ、実は毒舌やろうっていう性格に難ありタイプらしい。
だから、きっとこいつもそういう類なんだ。
「いや、君の飲みっぷりがかっこよかったから」
「…そんな事言われて、喜ぶ女子がいると思う?」
「うーん…、いないね」
わかってんなら、言うな!
飲みっぷりとか、なんだよ。
あたしはただ、どれだけ早く飲みきるかにかけていたんだ。
女子らしからぬそんなゲームをしていたわけ。
こいつのせいで、その気分が台無しだ。
「ごめんね。お詫びになにかおごるよ」
「初対面の名前も知らない人に奢られる理由はないから」
「それもそうだね、意外としっかりしてるんだね」
だから、一言余計だ。
意外にとかいらんから。
それもそうか。
茶髪に巻き髪でばっちり化粧の女なんて。
さわやかイケメンには、バカそうに見えたんでしょうね。
まぁ確かにバカですけど。


