「なんか、騒がしいなと思ったら、そういうこと!」
「すげー!愛を感じる!」
「お前らは、バカにしたいなら帰れ」
休み時間になって教室を覗きに来た洸くんと梨奈ちゃんが大騒ぎだ。
あの後、まさかの葵くんは授業を真面目に今まで受けた。
それはきっと初めてで、先生も黒髪になった葵くんに驚く以上に驚いていた。
だからこそ、洸くんと梨奈ちゃんが珍しく教室まで来たのだ。
いつもなら、途中で抜け出したそれぞれがいつものたまり場で合流するのに、今日は葵くんが学校に来ていることは噂で伝わるけど、姿を現さないことに疑問に思っての事。
「バカになんか、してないよ!感動してんだよ、俺は!」
「感動とか、あほだろ」
騒がしいみんなに、周りが少し引いている。
普段教室になんか来ない不良たちが集っているんだ。
それは、そうだろう。
「で、授業も真面目に受けたって?やばくね?嵐だ!嵐が来るぞ!」
洸くんはこの調子で、葵くんをからかう。
葵くんの変化を洸くんなりに喜んでるんだろうけどね。
「てか、うるせぇからお前らマジ帰れ」
「葵が…葵が…真面目なこと言ってる!葵が、がり勉野郎になってます、せんせ―!」
梨奈ちゃんも、きゃあきゃあ騒いで、大騒ぎだ。


