「早瀬さんって、ああいうのがタイプだったんだね」
席に着くや否や、そんな直球で投げ込んできた人。
それは、一ノ瀬くんだ。
この人、爽やかな顔して結構黒い。
「…どういう意味?」
「あんな、頭の悪そうなやつってこと」
「葵くんは、いい人だよ?一ノ瀬くんも、仲良くなったらわかるよ」
「俺はパス。別に、仲良くなりたいとは思わないし」
つくづく、我流を行く人だと思う。
そういうこと、思ってても普通はこんなにはっきり言えるもんじゃないし。
物事をはっきりと言えるところは、一ノ瀬くんのいいところでもあるんだろうけど。
「だから、もしあいつに愛想尽かしたら、俺のところおいでよ」
「……大丈夫です」
…本当に、この人は。
冗談なんかなくて、全部本気なんだろう。
だからこそ、対応に困る。
冗談なら適当に流してもいいんだろうけど。
本気だから、下手なことを言えない。


