「黒髪の新生葵くんだね」
「そうだな」
照れくさそうな葵くんがおかしくて。
きっとこれを逃したらなかなか見れる機会ないかもと思うとまじまじと見入ってしまう。
「ちょっと、お二人さん。そろそろ二人の世界から戻ってきなさい」
「…え、あ!」
「げ…」
私も葵くんも、すっかりここが教室だってこと忘れていたみたい。
かなりの注目の的だ。
そもそも、不良だと恐れられていた葵くんと、真面目で地味な私のツーショット自体が異例だろうから…。
恰好の噂のネタだわ。
でも、ま、いっか。
「あの二人って、付き合ってるわけ?」
「ウソ、なんか釣り合ってなくない?」
「マジ?早瀬さん真面目だと思ってたのに、あんな奴と?」
早速、ぼそぼそと噂を立てられているのが聞こえる。
どうせなら、いないところでやってほしい。
全部、聞こえてますから!


