「…昨日、染めた」
「そうなんだ。なんだか、見慣れないね」
「…千世子」
ニコニコと話す私とは対照的に、思い詰めた表情の葵くん。
とても言い辛そうに切り出す。
「悪かった。巻き込んで」
「え?あ…、ううん。私も、考えなしに飛び込んでごめんなさい」
「いや…。俺のせいだから」
やっぱり、葵くんは自分のせいで絡まれたと思ってたんだ。
そして、責任を感じてたんだね。
もしかして、その黒髪もそのせい?
「その髪も、そのために?」
「…千世子の隣にいるのに、金髪は似合わねぇなって…。それに、もう、そういうことで絡まれるのは嫌だから」
「そっか…。葵くんの金髪、キラキラして綺麗だったから、残念だなぁ」
「あのなぁ…。俺、結構覚悟決めて来たんだけど…」
「え?」
「その、千世子に怒られることも、もしかしたらフラれるかもって…」
それなのに、私としたらあっけらかんとしたもんで、葵くんは呆気にとられてしまったみたい。
でも、私、葵くんに怒ったりなんてしてないもの。
「へへ、大丈夫だよ」
「…ありがとう。俺、お前に釣り合うように、頑張っから」
なんだか、不思議だ。
あの葵くんが、こんな風に誰かと合わせようとする。
それが、嬉しい。


