「ありがとう。…もう、今日は眠りなさい。親御さんには、私の方から連絡しておくから」

「すいません…」

「おやすみなさい」



電気がぷつっと切れる。
暗闇が訪れる。

カチャッと部屋の扉が開く音がする。



「先生」

「…なあに?」

「親の愛に、恵まれなかった心細さは…私にも、わかります」





きっと、葵くんに比べたらその苦しみも悲しみもちっぽけなものだろう。
でも、私にもわかる。

愛してほしいだけなのに。
褒めてほしいだけなのに。






「あなたも、辛かったのね」

「葵くんのおかげで、世界が変わりました…」




出会いがあった。
知らない世界を見れた。

私は、葵くんにすくわれた。