「思ってもみなかったんでしょうね。自分のせいで、あなたを巻き込んでしまう事になるなんて。ほんと、子どもなんだから」
「先生、私は…」
「でもね、葵は、本当にいい子なの。あれでも、本当にまっすぐ育った方だと思うわ。もっとひねくれて、荒んでいてもおかしくないもの」
「はい…。葵くんの優しさは、知ってます…」
葵くんが、どうして高校生で一人暮らしをしているのか。
あんなに優しいのに、どうして不良なんかになったのか。
少しだけど、わかった気がした。
愛されなかった人生。
そんなの寂しい。
だったら、だったら。
「だったら、私が、愛します。葵くんに、私の愛をいっぱいあげます」
溢れるくらい。
もちきれなくなって、もういらないって言われるくらい。
「葵くんが、悲しむ隙もないくらい、たくさんの愛を、私が…っ」
「早瀬さん……」
なにができるだろう。
私が、葵くんにできること。
いったい、何があるだろう。