「こら、なによそ見してんだ。前見る」
「あ、はい!」
私は慌てて前を見る。
あれ、どうしてばれちゃったんだろう。
「バレバレなんだよ」
「え…えへへ…」
なんとか私も無事ゴールまでたどり着く。
でも、やっぱり結果は一度も変動することなく最下位。
「難しかった~」
「二人対戦は又だな」
「ええー!」
「競争にならねぇだろ。他のやろうぜ、他他」
「うん…」
なんか、悔しい。
絶対上達してやるんだから。
「ねぇ、葵くん…」
「は?」
「あれ、したい」
「あれ?……は?」
私の視線の先を見た葵くんが、とてつもなく嫌そうな顔をする。
でも、私の視線は釘づけだった。


