「ピストルの合図と同時にアクセル踏むんだぞ」

「はい!」

「アクセルの踏む力と、ハンドルの切り方に注意な」

「はい!」



そうこう言っているうちに、カウントが始まりピストルの音が高らかと鳴り響いた。
私は思いっきりアクセルを踏み込む。

すると、ブオーン!とエンジン音がし車が急発進。
でも、コントロールが効かず壁に激突する。



「アホ!アクセル踏みこみすぎだ!」

「えっ、わ、どうしたらいいの?」

「落ち着いてハンドルを切り替えながら元の道に戻れ」

「う、うん…」




葵くんに指示されながら、どうにか正規の道に戻る。
今度は落ち着いてゆっくりスタートする。


右上を見ると順位は最下位。
ガーン…。



「ほら、カーブ」

「あ、…ありがとう…」



自分のペースでゆっくり進んでいた私だったけど、ハンドル操作がなかなか難しくて。
そんな私を見かねて横から葵くんがハンドルに手をかけ一緒にハンドルを回してくれる。

…なんだか、かっこいい。




画面を見ている真剣な横顔。