「わ!頑張って、葵くん!ああっ!」




私は一々声をあげながら応援する。
結構ハラハラするものだ。
葵くんは、最後の最後で抜かされ、結果は2位。



「わー!惜しい!」

「ぷっ」




私が悔しがっていると、葵くんはハンドルから手を離しながら吹き出した。




「え?」

「いや…、こんなゲームでそこまで盛り上がれるのってすげぇなって」

「あ…ご、ごめん」




初めてだったから、つい…。



「いや、楽しいなら良かったってこと」

「う、うん…。それは、もちろん!」






楽しいに決まってる。
私は何度も力強く頷いた。




「じゃあ、千世子もやってみろ。で、二人で対戦な」

「え、一緒にもできるの?」

「ああ。だから、練習。少しはうまくなってもらわないとな」

「…頑張る!」