「こんなん、ただの紙切れでしかねぇのに。それに、あの時俺は千世子に気はないって言いきってたのに」

「うん」

「それなのに、こんなコメントまで入れて大事にしてるの見て…。俺、こんなことしてくれる子にひどいことしたなって思った。大事にしないといけないって…」

「葵くん…」

「そんなこと、思ったこともねぇのに。だから…思ったら、居たたまれなくなって…」






そんな風に感じてくれたんだ。
だったら、落としてよかった。
私にとっては、宝物だったその半券。
落としてすごくショックだったけど、そのおかげで葵くんとこうしていられるのなら。
落として、ラッキーだったよ。




「…千世子。これからは、ちゃんと大事にする」

「うん…」

「初めて、本気で好きになった。だから、俺についてきてくれ」

「…ふふっ、プロポーズみたい」




ついて行くよ。
だって、私も、初めて好きになった人。
ずっと、あなたについて行く。






「葵くん、デートしよっか」

「…ああ」