「洸くんが泣いてた」

「…あいつはアホか」



校舎裏で、しばらく二人きりですれ違っていた間の事を話してた。
そうだと思いだし、洸くんの話題を出すと呆れ顔の葵くん。



「ちゃんと、仲直りした方がいいよ」

「わかってるよ。…あいつ、めんどくせぇからな」

「え?」

「根にもつタイプなんだよ」




そうなんだ。
洸くんを思い返してみたら、なんか、わからなくもない。




「ちゃんと葵くんが謝るんだよ?」

「はいはい」

「洸くんが何と言おうと、我慢するの。できる?」

「はいはい…ってお前は俺の保護者か」



ぐにーっと両頬を引っ張られる。
私は慌ててペシペシと葵くんを叩く。



「ひよこが悪い」

「む―!」

「そんな可愛い顔してもダメ」

「なっ…」



かああっと赤くなる顔。
なんでこう、葵くんってシレッと恥ずかしいこと言うんだろう。