葵くん…。 葵くん。 葵くん! 私は確かめるように、葵くんを抱きしめ返した。 初めて感じた、幸せをかみしめるように。 「葵くんっ…」 「お前は、俺のモノだ」 「…うんっ」 嬉しい。 こんなにも、嬉しいものなんだ。 好きな人に好きって言われること。 好きな人に、抱きしめられること。 「千世子」 「…葵くん」 私たちは、また唇を重ねる。 今までの擦れ違いの時を埋めるように……。