「ちょっと、あなた」
図書室に向かう途中、突然声をかけられた。
今日は、なんだかいろいろと慌ただしい。
振り返ると、そこには見覚えのある綺麗な女の子。
「あ、あなた…」
それは、何度か図書室に向かう時に見かけた、葵くんとキスしていた女の子だ。
そんな彼女が、私に何の用?
「ちょっと、顔貸しなさいよ」
「…は、はい」
その彼女に連れられ、私は人気のない図書室がある校舎の裏まで来た。
なんだか、漫画とかでよくあるシチュエーション。
ということは、確実にいい話ではないはず。
「あたし、立花恵美。知ってるわよね?」
「…あ、はい…」
有無を言わさぬ迫力に、うなずくしかない私。


