昨日、財布を出したのは、食堂だけ…。
じゃあ、食堂で落としちゃったのかな…?


私は、食堂に向かった。
食堂はすっかり人気はなく。
食堂のおばちゃんたちが後片付けに追われていた。




「あら、どうしたんだい?営業時間は過ぎちゃったんだよ」

「あ、知ってます…。あの、落し物しちゃって。探してもいいですか?」

「ああ、いいけど、いつ落としたんだい?一通り掃除はしたけど、落し物なんてなかったけどねぇ」

「小さいものなんです…」

「そうかい。終わったら声かけてね」

「はい」





もしかしたら、ここじゃなかったのかも。
でも、もしかしたらあるかもしれない。
望みを捨てずに私は探し始めた。

机の下やいすの上。
思い当るところを隅々まで探す。


でも、どこにも見つからなかった。
やっぱり、、ここじゃなかったのかな…。


もしかしたら、ごみだと思って捨てられちゃったのかも…。




諦めるしか、ないのかな…。




「探し物?」

「え?あ…、一ノ瀬くん」

「必死な形相で食堂に入っていくのが見えたから。なに探してるの?」




一ノ瀬くんが心配そうに尋ねる。
私は起き上がり、一ノ瀬くんと向き合った。