「まぁ、どっちでもいいけど、着替えねぇとな」

「あ、はい…」

「あんた体操着持ってんだろ?」

「はい。…教室にですけど」




さすがにこんな汁くさい制服で過ごすわけにはいかない。
確かに着替えたいのだけれど、その着替えは教室だ。





「…あんた、何組?」

「え……1年6組…」

「…なに、同じクラスだったっけ」




ガーン。
という音でも聞こえそうなくらいショックを受ける。
いや、わかってはいたのだけれど。
私の事なんて、知らないであろうとは予想をしてなかったわけではない。
だけど、…それでもやっぱりショックだ。





「ふぅん。…で、名前」

「は、早瀬千世子…です」




なんだか、惨めだ。





「…じゃあ待ってろ。取ってきてやっから」

「え、あ、そんな!」

「いいから黙って待ってろ」




藤堂くんは、強引にそう言うと保健室を出ていってしまうのだった。