「あんたには、藤堂くんがいるでしょうが!」
「わかってるよ。だから、一ノ瀬くんはそういうんじゃないって」
「千世子がそうでも、一ノ瀬くんは違うでしょ」
「え?」
一ノ瀬くんは違うって、何が?
「一ノ瀬くんが千世子に気があるってこと」
「ええー!それは、ないよ。絶対、ありえない!」
「なんで言い切れるのよ」
言い切れるよ。
だって、片やイケメン爽やか好青年。
片や地味で真面目な優等生。
ないでしょ。
「いや、一ノ瀬くんのあの眼は、千世子に恋してる目だね」
「ちょっと、友恵!変なこと言わないで」
「まぁ、それが違うにしても、このままでいいわけ?葵くんのこと」
「…よくないけど」
どうしたらいいのかわからない。
葵くんがどうしたいのかも。
葵くんは…、もう私の事なんて、どうでもいいのかもしれない。
元々、好きでもなんでもなかったんだもん。


