転校生の話題は、瞬く間に広がり、休み時間になれば多クラスからも見物がたくさん廊下に溢れていた。
恐るべし、爽やか少年。




「すごいね、周りぐるっと女子ばっか」

「うん…。転校生が物珍しいだけじゃないよね」


あれは、狩人の目だ。
なんて…。



「藤堂くんと違って、害なさそうだから、皆これ見よがしに集ってるもんねー」

「ははは…」

「陰で藤堂くんかっこいい!とか言ってた子までいるわよ」



友恵が呆れかえったように呟く。
そんなものなのかもしれない。
手の届かないものより、もしかしたら手に届くかもしれない身近なものに目が行ってしまうのは。

でも、あのさわやかくんも、なかなか手ごわい気はするのよね。
それは、小説の読みすぎなのかしら…。




「で、あれを見ても千世子の気持ちは藤堂くんなわけ?」

「…え?あれを見てもって、一ノ瀬君のこと?」

「そう。どうせイケメンなら、私も彼の方が好感持てるけど」

「別に、イケメンだから好きってわけじゃ…」




顔で選んでるわけじゃないもん。
じゃあ、なんで選んでるのかって…?


葵くんには、葵くんのいいところが…。




あれ…?




うん、あるんだよ。
あったんだって、本当に。