「…よ」

「え…、あ、葵くん…」



こんな朝早くに葵くんの姿を見るなんて、珍しい。
なんて、当たり前のことを思う。



「行こうぜ」



私の隣に並び、私の肩を抱くと強引に引っ張るようにして歩き出す。
私は一人、戸惑っている。

好きじゃ、ないんだよね?

葵くんは、それでいいの?


好きでもない私と、付き合ってなんのメリットがあるの?






「今日、放課後デートするか?」

「え…?」

「放課後、あけとけよ」

「う、ん…」




なんだか、いつもと違う葵くん。
これが、付き合うってことなんだろうか。
でも、違和感を感じてしまう。


周りを通る人たちの好奇の目。
噂が回るのは、きっとすぐだろう。


なんだか、変わってしまった葵くんに、私は一人取り残されている。