「俺は、誰にも本気になんねぇから」





「あんたの事も、本気じゃない」





「それでも良ければ、俺と付き合え」





私の告白の返事は、そんな言葉で返された。
それに、「うん」と答えた私も、どうかしていたんだと思う。
「好きでもなんでもないけど、付き合う」と宣告されたんだ。


その言葉を交わした後は、よく覚えていない。


「じゃあ、よろしく」

そう言って葵くんが去って行ったのを、見た気はするんだ。
それでも、そこからどうやって家に帰ったのかも、そのあとどうしたのかも、私にはよく覚えていない。



気づけば、次の日の朝だった。


私は、準備をして、いつも通り家を出る。
変わり映えのない道を歩き、電車に乗り。


そして、変わり映えのない学校の校門をくぐった。




なにも、変わってなんかない。