と、言うか…。
どうして葵くんは、私を待っていてくれたんだろう?
というか、葵くんに不釣り合いなこの場所にいるのはどうしてだろう。
告白を思い出し、ドギマギしてしまう。
「ど、どうしてここにいるの?」
「…ひよこがどこにいるか聞いたらここだって言うから」
「どうして…」
どうして、としか出てこない私の口。
それほどまでに、戸惑っているの。
「あんたって、本当に楽しそうに本読むのな」
「えっ…」
「ものすごい、穏やかな顔で見てた」
「…は、恥ずかしい…」
よく友恵にも言われていた。
読んでいる感情がもろに表情に出ていると。
悲しい物語を読んでいる時には、悲しげな表情になるし、ハラハラするサスペンスは顔もひきつるし。
気をつけてはいるけれど、一人の時にはやっぱり気が抜けてしまう。
「そんな、いい場面だった?」
「え…あ…。うん。惹かれあっていた二人が、いろいろ困難があった末に、男の子が告白して、結ばれるところ…」
「へえ」
「すごく幸せそうで、なんだか私も嬉しくなっちゃって」
好きな人に好きだと言われる気持ち、わからないけど、わかった気になれる、そんな感じ。