「そこまでひどいやけどではないようだけど、放っておくと悪化するから、薬を塗って包帯で巻いておくわね」
「はい…」
「藤堂くん、冷蔵庫から氷を出してそこにビニール袋があるからそれに入れて水を少し入れるのよ」
「…人使い荒い先公だな」
テキパキと指示を出す先生に文句を言いながらも冷蔵庫に向かう藤堂くん。
さすが先生は、藤堂くんの事怖くないんだ。
「人聞きの悪い。どうせこの火傷あんたのせいでしょう」
「…ち、違うんです。私がよそ見をしていて…」
私が寝不足だったせいなんです。
全ては、それが原因なんですから。
「いいのよ、あいつがキレずにこうして私に頼んでくるってことは、あいつが悪いってことだから」
「え…」
先生はそう言ってにっこりと笑った。
先生は、藤堂くんの事をお見通しなんでしょうか?
いや、でも、それは本当に違うのだけれど。
藤堂くんはなにも言わず黙々と氷を作っている。
藤堂くんも、否定すればいいのに。


