保健室につくと、いつもは白衣を着ているはずの保健室の先生は普通のスーツに着替えていた。




「…繭子、どっかいくのか」

「繭子じゃなくて、北川先生です。何度言ったらわかるの、藤堂くん」

「うるせぇ、繭子は繭子だろ。それよりこいつ見てやって」




保健室の先生である北川繭子先生。
私はあまりお世話になることがないからあまりかかわりはないのだけれど、藤堂くんはなんだかとても親しい様子。

というか、度を超えて親しいみたい。


先生を繭子って呼び捨てにするなんて…。
さすがと言ったらいいのか…。




「まったく、口のきき方もなってないんだから。あら、あなた早瀬さんじゃないの。どうしたの?」

「あ、はぁ…」




先生はニコニコと優しい笑顔を私に向けて椅子に座った。
私は、少し考えて左手を差し出した。




「熱いお茶がかかってしまって…」

「まぁ…。赤くなってるわね。冷やした?」

「はい…。水道で少し…」





先生は私の左手を両手で包むようにして持ち火傷の様子を見る。