「あ、あのね、友恵…聞いて?」

「最近、よく藤堂くんと噂になるから心配だったけど、やっぱり!」

「違うの、違うから!」




なんて言ったら信じてくれるの?
葵くんは、本当はいい人なのに。



「もう、関わるのやめな!千世子も悪い影響受けるよ!」



友恵は全く聞く耳を持たず叫ぶ。
叫んだ後、急に固まり、私の後ろを見て青ざめていた。



「な、なに?」



その様子に私は眉をひそめ振り返る。




「あ、…葵くん……」


私の後ろには、睨みつけるように立っている葵くん。
睨みつけているように思えたのは私の気のせいなのかもしれないけど。



「あ……え、と……」


友恵もまさかの状況に戸惑いを隠せない。
恐怖になのか、顔を青ざめている。



「安心しろ、もう関わることもないだろ」

「葵くん……」



葵くんは切り捨てるようにそう言うと、私の横を通り抜けていく。



どうしよう……。
私、そんなこと思ってないのに。
葵くんを傷つけてしまったかもしれない。