「千世子!大丈夫?」

「友恵、おはよう」


私の顔を見るなり駆け寄り心配そうな顔を覗かせる。
そうだ、友恵に連絡もせずにいたから心配かけたよね。


「ごめんね、もう熱下がったから平気」

「もう、心配した!なんか、藤堂くんが千世子を抱えてたって噂になってたから」

「う、噂!?」

「大丈夫だったの?」

「大丈夫だよ。葵くんは倒れた私を保健室に運んでくれただけなの」



私は誤解を解くため必死。
だから、思わず葵くんと呼んでしまったことに気づかなかった。




「葵くんって!?ちょっと、千世子、葵くんって?」

「えっ?あ……あの…」

「葵くんなんて呼んでなかったよね!?」


捲し立てるように詰め寄る友恵に戸惑う。