残された私は、少し考える。
今のは、女の子扱いされたってことなんだろうか。


私なんか、隣で寝ていたところで葵くんには何の支障もなさそうだけど。
私にはものすごく支障ありだけど。




仕切られた棚の向こうで、葵くんの存在を感じる。
不思議な感覚。

同じ空間に二人きり。





葵くんが何を考えていたとしても。
今、この時は…。



「葵くん、お休み」

「…ああ、お休み」




声をかければ、返ってくる。
それだけが、幸せに思う。




小さな幸せかもしれない。





今は、ただこの幸せを噛みしめて、嫌なことは忘れてしまおう。