うどんをきれいに間食した後、私はベッドに戻りその横に椅子をもってきて座った葵くんに話をした。
看病の話。
熱を出したら怒られたこと。
仕方なく、看病されていたこと。
あんなおいしいうどんなんて、食べたことないこと。
「…気持ちだったんだ…」
「ん?」
「どうして、同じうどんなのに、こんなにもおいしいと思ったのか…。お母さんのうどんには、私を思う気持ちがなかったんだね」
「…それって、俺にはあるみたいな言い方」
「ち、違うよ!?そうじゃなくて…。でも、葵くん、私が言う前に作ってくれようとしたでしょう?それって、私の事考えてくれたってことでしょう?」
何か食べさせてあげようって。
その気持ちがあったってこと。
「その気持ちだけでも、少しでも私のためにって思ってくれた気持ちが、こんなにも変えるんだって…」
「…まぁ、それはそうかもな」
「お母さんは、私を見てくれなかったから…」
いくら、叫んでも。
いくら、求めても。
答えてはくれなかった。
いつしか、諦めてたんだ。
「いい子でいたら、なにも言われないから。いい子でいれば、お母さんはニコニコ笑ってくれるから」
だから、いい子でいることを決めた。


