顔をあげたら、私を指さして笑っているのは、いつも藤堂くんと一緒にいるグループの一人だと気付いた。
そして、私の目の前で、同じようにしりもちをつき座り込んでいるのはまさかの藤堂くんだ。




私は、なんて人にぶつかってしまったんでしょう。





よく見ると藤堂くんの制服もざるそばの汁が飛び、シミができてしまっていた。
ああ、どうしよう。




「ごめんなさいっ」




慌ててポケットからハンカチをだし藤堂くんのシャツにできたシミに押し当てる。
どうしよう、これ落ちるかしら…。
落ちたとしても、これから着ることできないわよね…。
ああ、どうしよう、どうしたらいいの…。





「お前、バカか!」

「え…?」





そんな私の行動に藤堂くんは突然怒る。
怖いです。
この人、やっぱり怖いです!

びっくりして固まった私の左手を取った藤堂くん。
私は突然訪れた痛みに顔をしかめた。



驚いて、熱さを忘れていたみたいだ。
私の左手は真っ赤になっていた。




「人の事気にしてる場合かよ。来い!」

「えっ、あ、あの…」