逃走中~呪われた街を走り回れ~




「えっ?沙鐘は気づかなかったの?」



と、少し遠慮がちに聞き返す晴哉。
すると、垢織が自分のスマホを差し出し沙鐘に見せた。



「画面の一番端っこに、小さく時間がかいてあってね、そこに10って書いてあったから…」



垢織のゆうとうりだった。
ゲームの画面の右斜め下に本当に小さく9と書いてあるのだ。

さっきまで10だったので一分単位で間違いは無さそうだ。



「なるほどね。で、やるんでしょ?これ」



納得したように顔を上げ沙鐘が呟く。

そして確認するように俺たち3人の顔を見回した。



「もちろん私はやるよ!言い出したの私だしね」



と垢織は頬をかきながら笑顔で賛成。



「僕もやるよ!面白そうだし!!」



続けて手を挙げながら賛成する晴哉。
多分、この中で一番張り切ってるのは晴哉だろう。初めてだって言ってたし。



「私はもちろんやるけど…アンタは?」



沙鐘の目線の先には俺。


俺?俺は絶対に…………


「やらない。」




「「「えっ!?」」」




…………予想以上にビックリされたんですが。

誰がこんな怪しいゲームやるかよ。
バカじゃねーの。



「えぇ~!樹途君やろうよ!?せっせっかく皆でできると思ったんだけどなぁ~…」



晴哉が思いっきり肩を下げ俯く。そして寂しそうな顔をした。

うっ、いや、そんな顔されても。



「何?アンタやらないの?まぁ、私にとっては好都合だけどね」



そう言ってフンッと鼻をならし俺を下に見てくる沙鐘。

………そう言われるとやりたく…ならなくもない。

でも腹立つ。