「樹途!そんな言い方は駄目だよ!」
「はい、ケンカは終わり、ね?」
慌てて間に入ってきた晴哉と垢織に止められ、しぶしぶ俺たちは席に座った。
……まぁ、大分気になったのか、晴哉はさっきのことを沙鐘に聞きまくっているのだけれども。
「ごめんね樹途、笑っちゃって、その質問ね、樹途の前に一回晴哉君が聞いてきてたの、その後に言ってきたからさ…」
あぁ…なるほど、だからか。まぁ、そりゃ笑うわな。
俺はだんだんと羞恥心が沸いてきて、俯いた。
その横で垢織は続ける。
「樹途が言ったことは全部大丈夫だよ。でも……えっと…実はそのゲームね
名前が無いの」
「………は?」
名前がない?
え?それはつまり…ゲームの題名がってことか?
「はっ…まさか…」
「ほっ本当だよ!ほらっ!!」
そう言って差し出された垢織のスマホには普通のゲーム画面が映っていた。
ただし、文字は<始める>だけであった。
「まじかよ…」
怪し過ぎるだろ。
何処をどうかまおうと、出てくるのは<始める>の文字だけ。
「まぁ、私も最初は驚いたけど…あれだよ、多分題名が出てくるようにしたの忘れたのよ。」
いつの間にか勉強をし始めた沙鐘が頭を抱えながら答える。
そして沙鐘にアドバイスをしながら晴哉も口を開く
「う~ん、僕はほら、ホラーゲームやったことないから、こんなもんなのかなって思ったけど…」
ん?まてよ?垢織はこのゲームの場面をこの2人にも見せたのか?
いやいや、さすがにそれは本を読んでいても気づくはず、だって晴哉も沙鐘も垢織の反対側に座っている。
目の前にいる、沙鐘ならまだしも晴哉は身を乗り出すくらいはするだろう。
なら…………何故。
「お前ら、垢織に画面見せて貰ったのか?」
嫌な予感がする
…………まさか
