「ねぇ、みんな!最近流行りのホラーゲームって知ってる?」


―放課後、誰もいない教室で勉強会をしていた俺たち4人は、勉強に飽きてか唐突に話出した形岡垢織(カタオカ アオリ)の言葉に耳を傾けた。


「あぁ…なんかそんな話聞いたな~」


それに答えるように顔を上げ、思い出すようにシャーペンを口元へ持って行く、河本沙鐘(カワモト サカネ)。


「あっ!それ知ってる!気づいたら携帯にそのゲームが入ってるんだよね!!」


つい先ほどまで隣で沙鐘に勉強を教えていた小野瀬晴哉(オノセ ハルヤ)が興味深々の顔で話にのる。


……おいおい、今勉強中だろうが


と、思いながらも少し気になるので、会話にはあえて入らず本を読むフリをする。

…そういえば、この間クラスの奴らもそんな話してたな。
どんなゲームって言ってたっけ?
えーっと、確か…


「うん!それでね、最近沙鐘、ホラーゲームやってないんでしょ?」


その言葉が頭に入ると、何を思い出そうとしてたのか分からなくなったので、放棄することにした。

「えっ!?あ~…うん。」


唐突にそう言われて一瞬ビックリした顔を浮かべた沙鐘は、罰が悪そうに頭をかき、目線を落とした。

そう、実はこいつ沙鐘は大のホラーゲーム好き。テストさえなければ家ではネトゲしかやらないホラーゲームバカだ。

そしてそれは沙鐘が唯一俺たちに知られたくないことであった、が、沙鐘のその趣味を俺たちが知ったのはつい最近の話だ。


何故自分に急に話題を振られたのか、一瞬わからなかったのだろうが、
俺たちが自分の趣味を知ってしまってたことを思い出したようだ。