たとえ、流星が思い出さなくても真実を伝えたかった。


勇気を出してことばにする。


「私たちは恋人同士でしたけど、理由が会って離れて暮らす事になったんです。流星さんと会うのは一年ぶりですけど、私は会えて凄く嬉しいです。」



流星は私を見つめたままで。


ごめんと呟く。



「君は俺に会えて嬉しいと言ってくれるのに、俺は恋人の君の事さえ思い出せないんだよ。」



流星が自分の頭を両手で抱える。


本当に困っているようだ。


「君はこんな俺の事なんか早く忘れて、幸せになった方がいい。もうここへは来ないで下さい。」


明良さんが流星に近づく。


「流星思い出してくれよ。雅ちゃんは流星が世界で一番愛してる人なんだよ。忘れられる訳ないだろう。」



流星は俯いたまま何も言わない。


これ以上流星を苦しめたくなかった。