その日はピアノを弾かずにお客様の接待に回った。


ホステスさんが二人休んでしまったから仕方なくて。


続けて飲まされたお酒に酔ってしまい、お店が閉店の時間に私は動けなくなっていた。


これじゃ流星のお店に行けない。


タクシーを呼んでもらい帰るしかないと思ってると。


閉店した花音に流星が飛び込んで来ると、流星が綾香ママに怒鳴った。


「みやにホステスさせるなと言ったろ。こいつは酒弱いんだから、みやは優しいから断れないんだ。」


ごめんね、流星。


意志が弱くて断れないから。



「みやはバカだから。俺がまだ綾香の事好きだと思ってんだよ。それでもいいって思う奴なんだよ。今だって綾香が俺の事好きなら、自分はあきらめようって、自分の事より相手の幸せばかり、みやは思うんだよ。」


流星には私の気持ちがお見通しだったね。


薄れて行く意識の中で流星が泣いているのが分かった。


ごめんね、流星。


泣かせて、本当にごめんなさい。


ありがとう、流星、大好き。