近距離ロマンス




せめてと、あたしは石田先輩に手を差し出す。





「アホか」





松本はあたしの腕をつかんで、差し出していた手を下げた。






「手貸す必要ないだろが。ナンパとかなんかだろ」


「えと、近所の石田先輩…」


「ハハ。ナンパじゃないよ。キーホルダーたまたま拾ったのが咲良ちゃんで」


「そ、そう」