近距離ロマンス



すぐには帰れなさそうだ。


ため息をついて、あたしは玄関の段差に座った。







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なにか準備をしたらしい先輩が戻ってきたのは10分後。


ごめんね、とへラっと笑いながら言うと、あたしの手を引いて外にくりだした。





どこに行くんですかと聞くと、メールでも知らせた、おすすめのカフェだと言われた。



はぁ、と返事をしてさりげなく手をほどきたいと思ったのだが。


なかなかはなしてはくれずにけっきょくおすすめらしいカフェについたらしい。






「ここ…。おすすめは日替わりデザート。おいしい」


「チャレンジしてみます」




カラン、と鈴がなって店の中に入ると、『いらっしゃいませ』ではなく『おぉ石田!』という声が聞こえた。


知り合いなんだろうか?




「ここ、俺のバイト先。だから安くなる…」


「…どうもです」