「さっきから箸進んでないけど、どしたの?」
美保がぼーっとしている私に聞いてきた。
「え?あ、うん、いや、その」
動揺しながら、椎名くんの方に目をやると、
友達と何事もなく普通に私が作ったお弁当を食べている。
「なるほどね。そういう事か」
美保は気づいたみたいで、ニヤニヤし始めた。
「美味しそうに食べてんじゃん。よかったね」
「ちょ、美保声大きい」
椎名くんは、廊下側の友達の席で笑いながら食べているから、窓際のこっちまでは聞こえないと思うが、美保の声のボリュームに慌てた。
でも、美保の言葉が嬉しくて、少しだけにやけた。

