ゆっくりと自分の席に座った。
椎名くんの背中を見ながら、声を掛けようか悩む。
椎名くんは、私が来たことに気付いたみたいだが、振り返らない。
空を見ることなく、珍しく顔を下に下げている。
やっぱり…
迷惑だったのかな?
もしかして、押し付けたこと怒ってる?
背中から、声を掛けづらいオーラが漂っていた。
すでに、後悔がつのった。
私って、バカだ…
なんだか泣きそうになる。
目が熱くなってきた。
だがその時、
小さい。本当に小さな声で、
「ありがとう」
椎名くんが背中を向けて下を向いたまま、そう呟いたのが聞こえた。

