「千秋くん…」
「おはよう。具合い悪いの?」
千秋くんが自然な形で、椎名くんの席に私の方を向く感じで横向きに座った。
「ち、違うよ。ちょっと色々あって」
「色々?」
「うん。色々」
「そっか…。でも、今日の遠野さんなんかいつもと違う」
「え?」
千秋くんは、少し意地悪な顔をして笑った。
「寝ぐせついてる」
「えっ‼」
千秋くんが、右耳の近くの髪に手を触れた。
あれ?
以前だったら、ドキドキしてたのに、今は不思議と何も思わない。
それより、単に寝ぐせを指摘されたことがただ恥ずかしかった。
今日は、お弁当を作るのに必死過ぎて、それどころじゃなかったっけ?

