「え?」
椎名くんは案の定、戸惑っている様子だった。
「やっぱり作りたくて…えっとその…」
段々恥ずかしくなってきて、椎名くんの顔が見れなくなった。
「あの…えっと…」
「作ってくれたの?」
精一杯頷いた。そして、
「う、宇宙飛行士になりたいんだったら、ちゃんと栄養取らなきゃダメだよ!」
私はそう言うと、椎名くんの顔を見らずに、彼にお弁当を押し付ける形で、その場から逃げ出した。
教室まで無我夢中で走った。
「どうしたの?そんなに慌てちゃって」
美保が息を切らして登校してきた私に驚いて近付いてきた。
「え、あ、うん、なんでもない。大丈夫」
息を整えようと席に座って、バックを置いたとこに顔を埋めた。
「結花?」
「大丈夫だから。ごめん」
美保は、何も言わずにその場から離れたみたいだ。
美保が居なくなった気配が見なくても分かる。
だけど、次の瞬間、違う誰かの気配を感じた。

