「帰らないの?」


そう言って、椎名くんは自分の席に横向きに座った。



「椎名くんは?どうしたの?」


「忘れ物取りにきた」



と、言ってもその忘れ物を探す素振りを見せない。


私の進路調査表を覗き混んでいる。



「悩んでるん?」

「うん…」

「まだ2年の一学期なのに、早いよね」

「最近、入学したかと思ったら、もうこういうの考えなきゃいけないんだね。高校の3年間なんてあっという間なんだね」