「あたし、まだ将来のこととか考えてないから。やりたいこともないし…。進路調査表どうしよっか悩んでて」
「うーん、そっか…」
「みんなもう決めてんのかな?」
自習中のみんなを見渡す。
真面目にやってる人もいれば、私達みたいに話してる人もいる。
すると、誰かの視線を感じた。
視線の方を見ると、美保がニヤニヤしてこっちを見てた。
あたしは、慌てて顔をそらした。
だが、視線がまだ無くならない気がした。
1番前の席に座る千秋くんだった。
なんで?こっち見てるの?
「どうかした?」
椎名くんが、私の戸惑いに気づき、周りの視線にも気付いたみたいだ。
すると、
「話は、また今度」
そう言って、椎名くんは前を向き直した。

